今回は『長閑の庭』7巻について書いていきたいと思います。
以前、7巻の田中さんと榊教授のことについて書いたのですが、田中さんと元子のこともやっぱり書きたくなりまして。
田中さんと元子が“普通”とはなんなのか話しているところが好きで、そのシーンについてが多めです。
それでは、いってみましょう~。
6巻についてはこちらから↓


“普通”とは…?
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お昼どき、大学にいた元子は榊教授と田中さんとばったり。
3人で話しているところに、元子はお祖父ちゃんを発見。
お祖父ちゃんはテレビで大学の学食が紹介されて友人と来てみたそうで。
榊教授と田中さんに挨拶したあと、友人たちと学食へ。
その後、残った元子と田中さん。
【田中さん】
あの人がシュバルツさんの掛かってる“悪い魔法”のひとつかあ
田中さんは、お祖父さんが悪いのではなくて、経験によって良い方向にも悪い方向にも向かうもので、誰にでもあることだと言います。
しかし、すっきりしない顔の元子。
田中さんは何でも聞くよと言ってくれ-
研究室に場所を変えた2人。
元子は、榊教授と自分が付き合っていることを家族に言えないことを悩んでいました。
理由は、お祖父ちゃんが同世代と付き合うものだと決めつけているから。
現にさっきも、お祖父ちゃんは田中さんには厳しい目をしていたのに、榊教授には向けていなかったと。
榊教授と付き合うことは、歳の差や立場の違いがあることはわかっているけれど-
【元子】
でも、時々“普通”って何だろうって思います
元子は続けます。
- 自分は、いわゆる“普通”ではないことが多い
- でも、何も悪いことはしていない
- お祖父ちゃんの決めつけは愛を感じるからこそ嫌だ
でも1番嫌だったのは…
【元子】
教授を好きになることを悪いことだと自分で認めたようで―――
元子の話を聞いて、田中さんは、そのときの多数派が“普通”。
【田中さん】
でもさ そこから外れたものは全てが“悪”かなぁ?
それが違うって事ぐらい本当はわかってるよね?
幸せでいれば、お祖父さんもいつかわかってくれると元子に話します。
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元子のお祖父ちゃんの榊教授と田中さんに対する態度の違い…牽制されてる。笑
“普通”ってなんぞやと、考えさせられてしまいました。
いわゆる“普通”に当てはめてしまうと身動き取れなくなる。
どんどん追い詰められていくように感じてしまいますよねー…。
はみ出していったもの全てが駄目だとされてしまったら、生きづらい人ばかりになるだろうし、“普通”でないからと排除していくよりは、それもありだと思える方が楽しそうだなと。
良い魔法も悪い魔法も反対側から見れば入れ替わるかもしれないし、絶対これだというものなんて本当はなくて曖昧なもの。
他人から何か言われても、自分で納得しないと結局モヤモヤが残ると思う。
特に元子はそんな感じで自分で答えを出してきたから、突き進んでほしいなと思うのだけれど。
でも、お祖父ちゃんのことも好きだから悩んでしまうんですよねー。
“普通”の話のあと、田中さんは樹里ちゃんと別れたばかりだったと気が付いてテンパる元子。
田中さんが、また相談してよって言った後の、
【田中さん】
大した相談ないと思うけどね!
に、にやにやしてしまう。笑
田中さんは榊教授の元子への想いを聞いていますが、悔しいから教えないそうです。笑
ここから1巻に戻ると、田中さん意地悪だなあと思ってしまう。笑
けど、今は元子と田中さんの間には優しい空気が流れているように見えます。
2人の間に、田中さん
榊教授の話を聞いて-
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榊教授から、元子と別れたこと、自身の先がもう長くはないと伝えられた田中さん。
研究室で1人で泣いていたところ、榊教授に会いに来た元子が。
しかし、元子には話のことを言わないでほしいと頼まれた田中さんは…言える訳がありませんでした。
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榊教授が元子を悲しませないようにという想いもわかるけれど。
田中さん自身がいっぱいいっぱいすぎてキツイ。見てられない…。
元子に本当のことを言えないのも…。
元子に頼りにされて
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榊教授の病気のことを知り、改めて別れを告げられた元子。
悩んで、悩んで…やっぱり榊教授といたいと思ったのですが、きっと自分とは会ってはくれないだろう-
元子は田中さんに相談。
田中さんが榊教授の忘れものを届けるふりをしてくれるとのことで、一緒に教授の家に向かいます。
田中さんを利用してすみませんと謝る元子。
忙しいのに、と言いながら初めて必要とされて光栄だという田中さん。
教授の家について、田中さんに取り持ってもらい、元子は教授と対面。
田中さんはあの軽~い感じで帰って行きます。笑
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田中さん、2人のこと大好きだよな~と思ったところ。笑
いつものように軽い感じですが、榊教授のことを話すときに少し苦しそうな顔…。
絡まった鎖ごと全部
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樹里ちゃんの結婚式にきた元子と田中さん。
ブーケを受け取ってしまった元子。手を挙げてないのにと困ったようす。
田中さんはもらっときなよと。
【田中さん】
教授が逝って もう2年だよ
榊教授を想っていつも泣いていたのだろうと思う田中さん。
もう他に目を向けて、黒い服だけ着るのもやめたらどうかと言いますがー
笑顔で、好きだから着ていると言います。
【田中さん】
教授っていう呪いをまとったまま 前に進むんだな【元子】
“呪い”というよりは…鎖というかリボンというか
優しく心地よく絡まっているんです
元子は穏やかな表情で話します。
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亡くなった榊教授を想っていることは田中さんにとっては悪い魔法なのかもですが…。
これしかないと思っていた黒も、榊教授に似合うと言われてからは好きな色に。
自分を肯定できるならば、想い続けることは、元子にとって良い魔法なのかなと。
さいごに
最後の最後に、
【田中さん】
ま!その絡まった鎖ごと愛せるのは俺しかいないわな!
って言ってて笑ってしまった。しつこく好きなのね。笑(そして元子には聞こえてない。笑
途中は見ていて辛いところが多かったですが、最後は悲しい終わりという感じではなくて。
田中さん推し的には頑張ってもらいたいけれど、多分元子は榊教授のことをずーっと思い続けるんじゃないかなあと。
2人とも榊教授のこと大好きだし、どんな関係でも離れることはないんじゃないかなーと。
想像する余白があって、どうなるのか色々想像して楽しんでます。
田中さんと榊教授についてはこちらから↓この2人やっぱり好きだなあ…。


今回はこの辺で。ではでは。
アキヤマ香『長閑の庭』7巻 講談社 KC KISS より